── 早速ですが、行政マネジメント研究所という名前がお堅い仕事をイメージしますが、実際どういう仕事をやられている会社なのか簡単に教えていただけますか?
行政機関を専門とするコンサルティング会社です。採用、配置、評価、処遇といった人事機能の支援をしている会社で、それぞれの団体の職員と組織の成長を支援しています。
── 行政というと、地方自治体と省庁とありますが、両方手掛けられているんですか?
そうですね。総務省ですとか人事院などもお客様です。ただやはり数的に地方自治体の方が 1,718団体と圧倒的に多いのでお客先も地方自治体が多く、メインは地方自治体です。
── 人事院に人事コンサルをしている会社というのも日本で珍しいんじゃないですか?
民間企業と違って専門性のある方(職員)がそのポジションに就いているわけではないんですよね。また人事異動もありますので、そういった面ではそれぞれの団体の職員の方々とご一緒に考えていくというスタンスで実施しております。
── 営業職というと、ノルマがあって突撃訪問して取って来い!みたいな。そういうイメージを持つ人が多いと思うんですが、行政マネジメント研究所の営業スタイルはどういう感じなんでしょうか?
メインとなるお客様の規模が、都道府県や自分たちで研修を企画運営できる規模で、専門的に言えば施行時特例市、中核市、政令市という人口20 万人以上の団体です。皆さんが一度は聞いたことのある地域です。そういった団体にとって私どもは新出の会社ではなく、以前から存在を知っていただいていますし、私どもの研修やその他コンサルティングも提供してきた経緯がある先ばかりですので、飛び込み的なことよりは従前からのお客様先に定期的にお伺いすることが多いです。全庁的、組織的な問題、例えば全体的な組織の若返りが進んでいるとか、男女バランスが崩れてきたとか、そういったことを解決していくための新たな企画や施策を随時ご提案していきながら売上を獲得していくという活動になります。いわゆる人事系の営業だと新規開拓の営業が非常に多いイメージですが、それに比べればルートセールスのように、既存客に対してのアプローチの方が圧倒的に多いです。
── 営業というよりは「何かお困りごとはありませんか?」という感じで、既に過去から取引のある自治体を回っていくみたいな、そんな感じですかね?
そうですね。人事上の課題や組織の課題はどこの団体も結構たくさんありますので、信頼関係が築けると訪問する度に「これはどうですか?あれはどう思いますか?」といったご質問をたくさん頂いて、「うちだとこういう研修を実施できます、このようなやり方もあります」といった具合に話が展開していき、面談が長時間に及ぶこともよくあります。
── なるほど。それはとてもやりがいありそうですね。
そうですね。一方で、全てがすぐに解決できる課題ばかりではないんです。どうしても団体の規模が大きくなってくると課題はたくさん増えてきますし、民間企業に比べるとリストラとか制度改訂とか抜本的改革みたいなのはなかなか難しいので、地方自治体が抱える人事課題の解決っていうのは結構難しかったりします。そういった面ではいろんな角度からご提案できる可能性っていうのは非常に高いです。
── そうすると、いわゆる営業の飛び込みセールスみたいことはなくて、既存顧客のところを丹念に回ってヒアリングしていくっていう、そんな感じになるわけですね?
基本的には、受注案件を担当していただくことが圧倒的に多いですね。受注案件でもコンサル案件は実施部隊であるコンサルティング室が担当しますので、営業の方では研修の案件が中心ですね。こちらをお客様と委託講師の間に立って内容の調整をしていただくという業務が時間的にも量的にも圧倒的に多いです。
── なるほど。サービススタッフのような役割もあるということですね。
そうですね。
── なかなか「営業」という言葉で括りにくい仕事ですね。
そうですね。社内的には「営業企画」という言い方をしています。同じ研修でも改善を要望されたり、若しくは講師の方から改善の提案を受けたり、それらを調整していくような仕事ですので、企画調整業務がとても多いですね。
── なるほど。既にお客様であって、進行中のプロジェクトに関するお話を聞いて細かい改善点をまとめて新しい提案をするみたいな、そういうことですよね?
まさにその通りです。
── そうすると、それなりに人事の知識がないと難しいと思うのですが、どうですか?
ゼロベースでスタートするのは当然誰しもが難しいと思いますが、そこはパターンがいくつかありますので。例えば、管理監督者層の課題って大体どんなのがあって、解決していくためのソリューションって大体こんなパターンがあって、みたいな型を覚えていただくところからのスタートですので、基本は押さえられるんじゃないかなと思います。
── なるほど、型があるとだいぶ安心しますね。となると、人事の経験があるに越したことはないけど、なくても全然大丈夫ということですか?
そうですね。制度系になると専門性はどうしても高くなりますが、人材育成は唯一の正解があるわけではありませんので、当社としてのソリューションの型をある程度覚えていって、それをカスタマイズしながら提案していくという感じですね。
── 人材育成って結構人によってやり方が全然違いますよね。会社によっても違いますしね。
はい、そうですね。
── 講師が持っている独自のコンテンツもあると思いますが、案件化した時にその講師に相談して内容を決めるっていうパターンと、会社である程度内容を決めてから講師に依頼するっていう両パターンがあると思うんですけど、どっちの比率が多いですか?
今のところは講師に相談する方が多いですね。例えばリスクマネジメントのような専門的な分野は社としてのコンテンツは持たずに、それぞれ専門性の高い講師の方々にお願いしています。一方で、新任課長や新任係長向けといったいわゆる階層別研修など、定番のコンテンツは新人から課長級まで揃えていますので、それを団体ごとの要望に沿って組み立てていき、「これでお願いしたい」と講師に依頼するケースも多くあります。
── なるほど。
どの講師、コンサルタントにお願いするかについても、最初からお任せするのでなく、一緒に考えながら理解していく形で進めています。
── 一人で営業に行くって最初はすごい不安だと思うんですけど、入社後しばらくの間はサポート期間というか育成期間というか、慣れてほしい期間みたいなのがあると思うんですけど、そういう期間は先輩と一緒に動けたりするんですか?
はい。最初は既存のお客様を今のメンバーから引き継ぐ形になると思いますので、一緒に回る形になります。その後徐々に挨拶程度からお一人で行っていただき、具体的な提案になってきたら上司やコンサルティング室が同行し、具体的なソリューションの提案をしていく形ですね。あくまでも営業はクライアントとのリレーションを守る役割であって、必要なソリューションに応じて同行して訪問するという形を取っています。
── なるほど。ちなみに、社員の平均年齢は何歳ぐらいですか?
30中盤ぐらいだと思います。
── 若いですね!では、35 歳ぐらいが一番活躍する年齢層で、入社後しばらくは慣れてもらうことを考えると、30 歳前後の人に来てほしいという感じですかね?
そうですね。加えてキャリアプランとしてコンサルタントになってみたいとか、若しくは講師をやってみたいっていう方も社として歓迎をしています。
── 営業で入社してコンサルタントになるっていうルートもあるんですか?
はい、あります。実際にそういうメンバーもいて、今活躍しています。
── コンサルタントの仕事の楽しみってどんなところになるんですか?
そうですね。制度系はその制度が運用され組織が改善していく様まではなかなか見れないですけど、お客様が非常に重く抱えている課題に対してこういった方向性であれば解決ができるっていう提案がはまった時と、それを形にしていくプロセスっていうのはやりがいを感じる部分だと思います。
── なるほど。大きな組織を動かすなんて、仕事しててもなかなか経験できることではないですからね。
そうですね。職場単位でのコンサルをするケースもあって、職場単位だと明確に成果効果を測量してもらえますので、例えば業務改善であれば事務ミスが何パーセント減ったとか、住民の方からの満足度が何パーセント上がったとかなど定量的に見えてくるので、貢献度合がはっきりと分かるっていうのもやりがいを実感できる点だと思います。
── なるほど、数値になると分かりやすくていいですね。
そうですね。採用のご支援では母集団が増えたとか、辞退率が削減したとかっていうのも分かりやすい成果になると思います。
── 最後に、このインタビューを読んでくれている人にメッセージをお願いします。
人事部門で働いている方々ってその組織の中でも優秀な人が来るんですよ。優秀な人でないと組織にとって重要な人事機能を任さないですから。その優秀な方々と一緒に作り上げるっていうプロセスは非常にやりがいがありますし、一緒に仕事をできる機会は自分自身の成長につながる非常に貴重な機会だと思います。そういう面では成長する機会をたくさん提供できる会社だと思っています。人事という業界、人材育成という業界の中で仕事を通して成長したい、場合によっては将来的に経営幹部とか経営者になってみたいっていう方は大歓迎です。
── 夢がありますね。中小企業は自分が頑張ったことがすぐ結果に出ますからね。
そうですね。
── 僕は大企業の問題も見ましたけど、中小企業の比じゃなくやばいですよ。直せないレベルで凝り固まってますからね。
大企業は、構造的な問題っていうのがどうしてもありますよね。
── 人の能力の問題じゃなくて長年積み重ねて動かせなくなったものが時代遅れになって、もう時代に適合しない。その課題って直せないですよね、利害関係者が多すぎて。それに比べると中小企業は機動性が高いですからね。
そうですね。一方でお客さんがそういう大企業のようなところなので、そういう面では提案のしがいがあります。例えばですけど、異動すると生産性が下がるのは当然分かってはいるんですけど、とはいえ、業者との癒着などのリスクを考えられて定期的異動を実施しています。
── やらないとだめですよね。
はい。しかし組織の生産性は必ず落ちるので、それを落とさないようにしていきながら、どうやって維持していくのかっていうのは永遠のテーマです。時代時代に合った形の解決の仕方を共に学んでいきながら提案していくっていうことが求められます。民間企業でしたら例えばトヨタ自動車の販社のお手伝いしたら、日産の販社のお手伝いなんか絶対できないじゃないですか。
── 競合ですからね。
自治体の場合ですと、例えばある政令市の制度のお手伝いをして他の政令市に行くと、「教えてください」って言ってくれるんですよね。それぐらい民間企業では考えられないことがこの地方公共団体には“学び合う”っていう根本的な部分があってですね、やればやるほど自分のノウハウも高まっていきますし、お客様にとってもプラスになっていくっていう。そういった点においてもたぶん成長スピードは民間に比べ早いんじゃないかなと思います。
── 今日はインタビューのお時間をいただきありがとうございました。
ありがとうございました。